車体よりはしご本体および取り付け部品を取りはずし、各段ごとに分解後、梯体の安全確保のためのねじれ・反り・変形に対する測定、亀裂・損傷等を点検します。
はしごの変形例
はしご分解
はしご車には各装置を駆動させる油圧シリンダー(アウトリガー、ジャッキ、起伏、伸縮等)が装備されています。このシリンダーは、はしご装置の状態を変化させる働きと、その状態を保持する機能(役割)があります。はしご車は車台を基礎として梯体を突き出して先端を対象位置に近付け、高所での人命救助・消火活動を目的としています。しかし、車台の基礎(安定モーメント)で支えられるモーメント(転倒モーメント)に限界があり、使用範囲(限界)が設けられています。それを越えると転倒の可能性があり、使用範囲以上には操作できないような装置になっていますが、当該シリンダーが機能を失うと、危険な状態になります。よって、これらのシリンダーは、オーバーホール内容でも特に重要な役割を持っており、整備結果を検査成績表にも記載しております。
シリンダーロッド再メッキ加工
シリンダーロッドの摺動傷
整備内容:各部分解→各構成部品点検修理→ピストンロッド硬質クロームメッキ→グランド、ピストン部旋盤加工→グランド、ピストンアダプタ製作の上パッキン取替→組立→単体検査(耐圧、作動、内部機密他)
はしご操作の原動力となる油圧を発生させるギヤポンプ。その性能維持は重要なため、自動車のサイドP.T.O.より動力を取り出し、交換。長時間使用することによりギヤおよびケーシング等の摩耗、損傷による性能低下をきたしますが、使用頻度が少なくても錆の発生等により使用頻度の多いものより摩耗、損傷の大きい場合もあります。
ギヤの磨耗・損傷
ジャイロターンテーブルの損傷
ジャイロターンテーブルの修正
アウトリガーの張り出しと同時に作動を始め、ジャッキ接地時には、すでにはしご装置全体を水平に保てるよう矯正するジャイロターンテーブル。ジャイロターンテーブルの損傷は、重大事故につながるため、その分解修正はオーバーホールの重要な整備項目です。
各油圧機器の役割は、はしご車を動かす油圧を発生させ、動く方向に圧力を切り替え、また操作時には安全に滑らかに作動、停止させること。6~7年も使用していると、内部パッキン等消耗品の摩耗劣化、摺動部の損傷が相当に進んでいます。整備工程:取り外し→分解→各構成部品点検修正→消耗部品交換 →組付→作動および耐圧検査→完了
駆動シャフトの損傷
機器分解
機器組み立て
四連切換弁(分解前)
四連切換弁(分解後)
油圧ホース
経年変化によるゴム質等の
劣化および変形により全数交換します。
ワイヤーロープ
はしご車には、伸縮およびリフターの
2カ所にワイヤーロープを使用しています。
ワイヤーロープ取替の目安
変形
損傷
新型のはしご車の場合、従来型のはしご車と違い操作時、全操作の制御をコンピューターにて行うため、末端センサー類及びコンピューター本体の維持管理が非常に重要になってきます。また、近接スイッチ・ポテンショメータ等センサーによりコンピューターにデータを送り常に円滑、安全に全装置が作動するようになっているため、本来の機能を維持しようとすれば油圧機器および構造物の使用環境ならびに状態に合わせ常に微調整を繰り返し行う必要があります。
はしご操作用コンピューター
油圧装置における作動油は、ポンプ作用によって油圧ポンプから吐出され、減圧弁、切り換え弁、カウンタバランス弁等を通って、アクチュエータ等を動作させるエネルギーを伝達する媒体として、重要な役割を果たしています。さらに、はしご車に使用している作動油は、単に動力を伝達するだけでなく、油圧機器各部の潤滑、防錆、密封、冷却、耐摩耗、消泡、粘度温度特性、耐火性などの働きを兼ね備えたものです。そのため、油圧装置及び油圧機器の機能低下、消費動力増大等のトラブルの多くは作動油の劣化が原因といわれており、ひどいときには破損、機能停止にもつながっています。
リターンフィルタエレメント新旧部品
外観検査方法
タンク上部および底部、または配管系統から採取した作動油を試験管に入れ、色、におい、異物の混入状態を、新油と比較する方法です。
下地修正(塗装用板金・パテ含む)→ウォッシュプライマ塗装下地(ピンク)塗装→赤色塗装→赤色仕上げ
下地塗装
再メッキ加工
艤装
はしご試運転・社内検査
日本消防検定協会による受託鑑定